雪原に灯る、青年高倉健の温み / 「網走番外地」 石井輝男

網走番外地(1965)(1965) - goo 映画


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伊藤一の小説「網走番外地」の原作は二度映画化されている。

ひとつは日活で1959年に製作されたもの。もうひとつが本作。
東映1965年の作品、主演はもちろん高倉健。 そしてこの東映「網走番外地」はシリーズ18作まで続いていく。


本作品は、そのシリーズの第一作となるもの。




雪に囲まれた網走刑務所と大雪原が舞台の清冽な空気感の中に、人間の浅はかな権力欲や悪意が渦巻きつつも、母の身を心配するあまり脱獄することになってしまう高倉健の主人公の温かみが一点配された構図となる。

雪山や雪原のシーンやトロッコでの丹波哲郎とのチェイスアクションなど、雪の風景とみまって大変に印象的。
嵐寛寿郎の「鬼寅」役も独自の存在感を放ち、これも忘れられないキャラクター。
石井輝男の傑作のひとつと数えられてしかるべき作品です。


主題歌の「馬鹿を、馬鹿を承知のこの稼業」で始まる高倉健の主題歌「網走番外地」も渋い。


なお、この作品は原作とはとんと関係ない筋立ての物語となっていて、雪原を鎖につながれた脱獄囚の二人が逃亡をはかるという筋立ては、若松孝二にいわせると、若松がこの映画の前年に撮影していた、アメリカ映画「手錠のままの脱獄」をモデルにした未公開作品のアイディアをパクったものとのこと。
若松の作品は、この脱獄囚役の二人が事故死してしまい、そのためお蔵入りしてしまったが、新聞などにその筋立てが出てしまったためとのこと。

まあ、それにかかわらずいい映画でしょう。高倉健も一生懸命に、若く一途に家族思いの青年のナイーブさと無垢な優しさを演技しております。こういう役どころは、このシリーズ後はあんまり見られなくなっていきますよね、健さんは。




神保町シアター 川本三郎編『鉄道映画紀行 〜思ひ出は列車に乗って〜』にて

テーマ : 映画レビュー
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